ルルドの朝陽を浴びる聖堂
ルルドの朝は早い!
朝早くからミサがはじまり、人がたくさんいる。ちょうど私たちが訪れたこの時期は、ヨーロッパ中のcancer samit なるものが行われていて、そのイベントに関わる人たちのタオルやら、ワッペンやらが目立った。
写真を撮っていると、元気そうなおばさんが、写真を撮って~と声をかけてきて、撮ってあげると、そのイベントについて教えてくれるのだけれど、フランス語だからよくわからない。。。。とりあえず、こんなところにまできても、ガンに関連したものと出くわすのだなと思ったりする。
朝8時半からになると始めるためなのか、病気を患っている人のためのルルドの泉の洞窟前の
ミサを待つ人が並んでいた。ここにも多くのボランティアさんや、ナースの姿が。
この人たちは一見ディズニーランドのアトラクションのお兄さんや、お姉さんみたいなコスチュームだけれど、というボランティアの人たちで、ヨーロッパ系の赤十字のナース達らしい。
ルルドの泉の水は、夫と二人でゴクゴク飲んだけれど、沐浴につかるか悩んでいた。
なぜなら、一つの浴槽を一日1回水を替えたら、多くの人がその水風呂みたいなものにつかる
システムと聞いて、かなりびびった。
やはり、色々な人が来ていて、
色々な病気を抱えている人もきていて、
感染とか、
衛生面を考えれば、もちろんナースの私としては、ひるまざるを得ない。
というか、一般的に考えると思う。
ここへ来る前に読んでいた本では、かなりひどい膿が出ている人や、癌でどうしようもなくなった人も来るとか書いてあると、さらにビビる。
しかし、ここまで来て入らないでいるのはもったえないと思い、意を決して、入ることにした。
ラッキーなことに、下見に行った時には、50人近く待っていたのが、早い時間だったせいもあり、10人足らずだった。
何の申請もチェックもいらない。自分がどういう状況か伝えることもなく、ただ並ぶ。
見ていると、観光客ののりで、どう考えても健康そうな人達が並んでいるようにみえる。
もちろん、障害を抱えていそうな、歩くのに不自由な御婦人も見受けられる。
待っていると、ストレッチャーに乗ったお母さんと、それを介護する娘さんらしき人が出てきて、
その幸せそうで穏やかな笑顔をみていると、泣けてきてしまった。
こうして、万が一の奇跡を信じて、大変な思いで来ている人達に対し、ばい菌の元のように思っている私をちょっと恥ずかしく思うのと同時に、純粋にそれぞれが何らかしらの愛を受け取っているのだろうと思い、感激したからだ。
いよいよ私の番が近づいてきて、黒タイツに白衣のような出で立ちの化粧の濃いおばさんが、招きいれる。
カーテンの向こうでは、また5人くらいの人が待っていた。
裸になり、バスタオルのようなものでくるまって待っているのだけれど、これもまた使い回し。
壊れた英語しか話せない私には、韓国人のボランティアさんが、アシストしてくれた。
指示された通り、目をつぶっていると、また別の布にくるまれて、そのまま冷たい浴槽のような
中に入った。
一歩ずつ足を踏み入れるが、これが驚くほど冷たい。11度くらいだとか。
銭湯に行って、いきなり水風呂に入るような感覚。
こんなに冷たい中に病人が入っても、いまだ心臓発作で死んだ人はいないのだとか。
ほんの一瞬、時間にしたら10秒くらいだったんじゃないかと思う。
私の沐浴というか、ちょっと浸かるのが終わると、マザーのような人が、私のために祈ってくれた。
アヴェ・マリア アヴェ・マリア ということしか分からなかった。
出ると爽快であった。気持ちよくてすっきりとした感覚と、達成感で、川を眺めるレストランで乾杯した。
ただ私の祈りは、私の子宮が良くなり、そこに赤ちゃんが来てくれますようにと、ひたすら祈っていた。
⑥ルルドの夜につづく
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